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スポーツをしている人なら“RICE”処置を知っていると思います。
肉離れや捻挫、骨折、打撲のスポーツ外傷を受けた時に、破れた血管を収縮させて止血や腫れの防止するために行う4つの応急プログラム、すなわち「休息(Rest)」「氷冷(Ice)」「圧迫(Compression)」「高挙(Elevation)」の頭文字です。今回は、その中のうち氷冷、アイシングについてお話します。
まず、アイシングに使う氷はなんでも同じではありません。冷蔵庫の冷凍室で作った表面に白い霜が降ったようなカチンカチンで表面がサラサラした氷を使ってはいけません。温度が低過ぎるからです。実際日本の冷蔵庫は-20℃まで下がると書いてあるものもあります。冷たすぎる氷でアイシングして5分間で凍傷を起こした報告もあります。
一方、製氷機の氷は表面が少し濡れた、いわゆる0℃の氷ですから体温で溶けていき、凍傷の心配もありません。氷は溶ける時に、より熱を奪う性質がありますので製氷機の氷や溶けかかった氷のほうが患部の熱を奪いやすいのです。
冷却の時間は目安としては10〜30分といわれますが、時間ではなく感覚として麻痺してきて無痛状態になったら一度外しましょう。そして少し感覚が戻ってきたら又冷やします。年齢や個人差によって皮膚温の戻りも違うのでいちがいには言えませんが目安としては一時間に1セット。例えば夜7時から冷やすとすると、冷やし始めて感覚がなくなったら外し、8時になったら再び冷やす。そして数時間から一晩冷やしたら、次は温めたりエクササイズして自然治癒力に重点をおいて、修復のために働くホルモンなどの分泌物の活性化をはからなければなりませんからアイシングをいつ止めるか、いつ切り替えるかという判断が大切です。
もうひとつ、現場ではコールドスプレーや湿布薬を使うことが多いのですが、市販の湿布薬にはサリチル酸メチルやカンフルなどの刺激物が入っていますから、逆に血行がよくなってしまい、最初はひんやりするけれども、実際には冷却効果もさほど期待できません。だから、RICE処置をするときにはむやみやたらに市販の湿布薬を貼らないことが大切です。また、入浴は控えること、そして大人はお酒を飲まないなどが最低限の注意になります。
クーリングダウンとしてのアイシング
数日にわたって行われる陸上十種競技のドイツのトレーナーが一日目の最終種目400mのゴール地点でアイスボックスを持って待ちかまえていました。なにをするのかと見ていたら、ゴールインしたら間髪おかずにその場でアイスバケツの中に選手の脚を入れてジャブジャブと氷水をかけて冷やしていたのです。その後クールダウンのジョギングをさせていました。あとでどんな意味があるのかと聞いてみると、筋肉痛の軽減と乳酸が出るのを軽減させて疲労を抑えるのだということでした。筋肉の温度が高いだけでエネルギーが消費されるので、いつまでも火照った状態だとエネルギーがどんどん消耗されていくことになります。その後再び運動すると、エネルギーは一層浪費されます。だから、非常に激しい運動をした後の筋温を早く元の筋温に戻すために冷やしているのだそうです。サッカーの試合が一日で何試合か組まれる場合には試してみるのもおもしろいでしょう。
参考文献
1)山本利春:アイシングの実際、Sportsmedicine Quarterly 1997 No.21,13-21p |