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前稿では「基礎・基本の重視」について述べましたが、これをクリエイティブなプレイとして発揮するためには、個々の選手に「主体性」が備わっていなければなりません。
サッカーは極端に言えば、(1)目的の発生、(2)プレイの選択、(3)プレイの実行、(4)新しい目的の発生、といった4つのステップのサイクルから成立します。これらのステップの質の決定やプレイの成否を握っているのが、この「主体性」であると言っても過言ではないでしょう。
(1)のステップでは、目的を主体的に把握できることが求められます。「勝つ」という最終目的のために、流動的な局面の中で「自分がしなければならないこと」「自分がすべきこと」をいち早く察知し、速やかに実行しようとしなければならないのです。また、このステップで高い達成意欲を持つことが、後のすべてのステップの成否に影響することになります。
(2),(3)のステップについては、前稿で述べてきたとおりです。「基礎・基本」を実戦の中で発揮し、かつ実戦の経験から「基礎・基本」を成長させるためには、常によりよいプレイを志向する姿勢とプレイを分析・評価し、改善していく力を身に付けていなければなりません。また、プレイの結果に対する責任を自覚できることが必要です。この責任感が、プレイを改善していく推進力になっているのは明らかです。さらにサッカーがミスを前提としたスポーツであることを踏まえれば、自分のミスはもちろんのこと、味方のミスをもカバーしようとする意識や姿勢も主体性の1つと言えるかもしれません。
「主体的なプレイヤー」をまとめれば、まずはプレイの目的を常に自覚できる、もしくは自ら設定できること。つぎに目的を達成するための労力を惜しまないこと。そして、プレイの結果に責任を持てること。さらに自らの経験を次なるプレイに生かせること。選手はこのサイクルをゲーム中に繰り返しながら、勝利を目指します。そしてこのサイクルにチーム戦術が加わり方向性を明確にしていくと、チームパフォーマンスもスパイラルを描いて高まっていくのです。
このような選手を育成していくためには、指導者側の意識の転換がまずは必要です。「選手を育てる」指導から「選手が育つ」指導への転換と言ってもよいかもしれません。とかく理論や技術を一方的に教え込みがちな指導から、選手自らが気づいたり工夫したりしながらサッカーを学んでいく指導に変わっていかなければならないのです。ゴールを目指すのは選手自身であり、選手として成長していくのも選手自身であることを考えれば、「個々の選手のよさを引き出す」ことにこそ、これからの指導者としての役割があるのだとも言えるでしょう。
最後になりますが、「基礎・基本の重視」と「主体性の育成」をトレーニングにおいて展開していく時に一番に求められるのが、指導者自身の基礎・基本であり、指導者自身の主体性であることを忘れないで下さい。サッカーは単純であり複雑なスポーツです。指導者は選手と共にサッカーを学び追求していくものだと考えた方がよいでしょう。サッカーを楽しみ、共に向上を求めてやまない指導者と選手がいるピッチが増えることを期待します。 |