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テクニカルコラム
宮城県サッカー協会 技術委員長 櫻井 覚
 
VOL.12 サイコロジカル・サッカー
 

 明けましておめでとうございます。

 元旦の天皇杯決勝は、今年J1に返り咲いた若武者「京都」が制しましたが、天皇杯と言えば、毎年のように下位リーグのチームやJ1で不調だったチームが健闘するのが特徴です。また、ゲーム内容としては天皇杯より数段面白かったのが、昨年のJ1生き残り戦線でした。あの数節を見る限り、誰もが「最初からこんな風に戦っていれば・・・」と感じたことだろうと思います。なぜ序盤戦から戦えなかったのでしょうか?なぜ終盤戦や天皇杯では戦えたのでしょうか?

 実は、このようなことはサッカーの世界では常識・・・どのカテゴリーのどのレベルのゲームでも、技術・戦術・体力どれをとっても実力差がありながら、ひっくり返ってしまうことなど枚挙に暇がありません。その鍵を握っているのが精神的・心理的な力である、と言うのが本稿の中心です。

 J1の生き残りの戦いは、多くが危機感によるモチベーションの高揚だったかと思います。後がない危機的状況の中で、個々の選手が勝利に向かって集中を持続させた結果であったのでしょう。選手は果敢にリスキーなプレイに挑んでいましたし、off the ballの動きも積極的でした。何よりボールに対する執着心は、どのような不測の状況にも発揮され、運を自分の懐に収めることに成功していました。

 「勝ちたい」意思を感じられないチームは論外として、「負けたくない」思いが「ミスをしたくない」というネガティブな心理状態として表出したチームも見受けられました。ダイナミックな攻め上がりもリスクチャレンジもなく、自分がミスを犯さないことだけに執着しているのではないかと疑ってしまうプレイの連続です。結果は大負けしないが、勝てないと言ったところでしょうか。

 技術や戦術はもちろん大切です。しかし、パフォーマンスの発揮には、精神的・心理的タフネスさが不可欠であることを認識すべきでしょう。止める蹴るが上手な選手は数多いますが、一流の選手はこの部分がしっかり備わっているものです。・・・それでは、常に危機感を持たせたり、危機感に変わる心理的な刺激を与え続けたりさせられないものか?と、つい不遜なことを考えてしまった年の初めでした。

 さて、今年の宮城県の目標は、各カテゴリー代表に1名以上。国体は全種別優勝。単独チームの全国大会もすべて優勝を狙います。ベスト8程度の設定ですと、危機感も使命感も薄れ、きっとどこかに妥協が生まれてしまうでしょう。世界を目指せば、日本一なんてほんの通過点に過ぎないものです。大風呂敷を広げて、挑戦してみようではありませんか。

[ Updated: 2003.1.7 ]

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