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2種のお知らせ・試合速報

なぜ高校生で8人制サッカー? 3/16ミニサッカー大会の「裏側」/高校サッカー部が抱える悩み

2024.04.05
高校生で8人制のサッカー導入??

 

初めて聞いた時は「え?」と、戸惑いましたが、抱えている課題の解決に「まずは一歩踏み出しましょう!」と始めた「仙北・本吉地区ミニサッカー大会」が、2024/3/16()に気仙沼で開催されました。この事業の概要は、県北地区の高校生を対象とし、大人コートの半分のハーフコートサイズ、試合時間20分間、人数は8人制の大会。

昨年は雪で中断となりましたが、今回は天候にも恵まれ、さらに、県北地区中学生選抜の参加もありました。

 

 

この大会を開催しようとした背景は?

高校サッカーは、TVをはじめとするメディアから伝わってくる「青春」「輝かしい」などのイメージがある一方で、県内約70校の中で、単独の高校サッカー部では3年生が抜けると11人揃わない、そもそも11人前後しか部員がいないという学校も年々増えております。

202311月に実施した高校新人戦では、大会参加チーム53チームの内、7チームが合同チームでの参加でした。 2023高校新人戦組合せ 

さらに、「2017年、コロナ禍前の2019年、2022年の県内6地区における高校サッカー部の学年別選手数と3年生引退後の11人に満たないチーム数の推移」を分析したところ、仙台地区以外では、2017年度と2022年度の3年生引退後11人に満たないチーム数が増えている現状もわかってきました。

高校生年代は、全国のプレミアリーグを頂点に年間のリーグ戦で定期的な試合機会を構築する中、単独の学校では11人の人数が揃わず、試合機会が十分にないチームもあることも課題となっております。

そこで、試合がないことによる選手のモチベーション低下を解決する方法の一つとして今回の事業が計画されました。

 

なぜ8人制?

11人制の合同チームの試合ではなく、あえて8人制を選択した意図は、学校部活動単位で活動できることに重点を置いております。合同チームとなると、「当該の学校の予定を合わせることが大変」、「欠席者が出た場合、11人揃わず、相手チームだけでなく合同チーム内でも迷惑をかけてしまう」などの課題がありました。こういった課題も踏まえ、まずは、8人制で実施してはどうかと議論なされ、この形になりました。

 

大会を実施して

今回の大会は、1つの学校から複数チームの参加も可能であるため、仙北・本吉地区にある高校サッカー部の8校中68チームに加え、県北地区中学生選抜の2チーム、合計10チームが参加しました。5チームを2つのブロックに分け予選リーグ、その後、順位決定戦を1日で実施するスケジュール。1つのチーム当たり、20分間の試合を4試合実施しました。

実は、県北地区の中学2年生地区選抜チームを参加させることで、中学生においての活動環境を増やすとともに、この大会を通し、高校でのサッカー環境を伝え、進路の選択肢を増やしてもらうことにも取り組みました。さらに、宮城県サッカー協会のパートナーである hummel 様より、「試合機会が充実することでより多くの高校生のモチベーションが高まっていってほしい」とこの事業の背景や目的に賛同いただき、景品や全チームへのノベルティを提供していただきました。

 

以下、参加した選手、指導者の皆様の声

 

選手の声

・試合が出来ることはやっぱり楽しい。さらに賞品もあるのでそれも一つの目標になり良いと思った。

8人制は展開が早く楽しい。11人制でも試合がしたい。

 

指導者の声

11人揃わないチームが増える現状で、今後このような試合機会は重要になるため、年間で複数回の開催も検討したい。

・選手のモチベーションが低くなると部を辞める確率も上がるため、こういう事業はサッカーの試合機会が確保でき、選手への目標設定を促せることに繋がり、選手のモチベーションを保てる。

1つの学校から複数チーム参加も可能であるため、お互いを意識し、ライバル?ダービー?のような感覚で、大会を盛り上げる一つの要素にも繋がったのではないかと思う。

・機会提供だけでなく、11人制を意識した8人制でのポジション配置や連動性などの戦術を選手へ理解させることも今後できる可能性はあるし、より強度の高い試合の場という意味で、将来的には7人制や6人制などの検討の余地はある。

 

 

課題解決に向けて、県北地区の関係者が「まずは動いてみよう」と新たに実施したこの大会は、単に人数が揃わないということだけでなく、

・県内の中心部まで移動することなく、移動負担の少ない地区内での試合機会の構築

・ハーフコートでの実施は準備もスムーズで、参加チーム数とその試合数も確保できる

などの観点でも、地区事情を考慮した一つの形になったのではないかと感じます。

 

人数が少ないから合同チーム…という視点だけでなく、高校生年代においても、少ない人数でどう試合機会を提供できるかという視点も重要であると、この大会を通し考えるキッカケとなりました。

しかしながら、サッカーの公式戦は11人という常識の中で、人数の揃わないチームが増加傾向を踏まえ、機会をどう提供し、そして選手のモチベーションを維持しながら、段階的に結び付けていくか…今後の試合環境を整えていくために有意義な時間となりました。

 

 

この大会の開催にあたっては、企画、運営に携わっていただいた県北地区の高校生年代の関係者の皆様、ノベルティの提供をしてくださった hummel 様、選手の参加を支えてくださった保護者の皆様、大会に関係したすべてのステークホルダーの皆様のご尽力に感謝いたします。